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派遣社員の直接雇用や長時間労働の是正などに取り組んでます

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製造業派遣禁止へ 規制すべきは業種か制度か?

  対症療法でお茶を濁す政府

  キャノンやトヨタなどの大手製造業による大量の「派遣切り」に批判が集まる中、舛添厚生労働大臣は、製造業への派遣を禁止すべきだと、5日の記者会見で述べた。昨年、政府は、日雇い派遣の不安定、低賃金労働の実態が社会の批判を浴びたことを受け、30日以内の派遣を禁止する労働者派遣法の改正案を国会に提出している。そして、今度も、昨年9月以降の世界金融破たんの影響による大量の「派遣切り」批判を受け、製造業への派遣も禁止する考えを打ち出した。「日雇い派遣の禁止」にせよ「製造業への派遣禁止」にせよ、社会問題化した部分に規制をかける対症療法に過ぎず、派遣労働の問題の本質には触れず、派遣問題の沈静化をねらっているように見える。

  派遣問題とは安易なクビきりをどう防ぐかにある

 派遣労働の最大の問題は「簡単にクビを切れる」ところにある。今起こっている「派遣切り」はまさに派遣労働の問題が一気に噴出したものだ。契約期間が終わっていないにもかかわらず、その途中で、一方的に契約を打ち切ることが、まかり通ってしまう、この仕組みをなくしていかなければならない。たしかに、製造業への派遣が禁止されれば、製造業では派遣の問題はなくなるかもしれない。しかし、製造業以外の多くの派遣労働者は、これまでとなんら変わることなく、いつクビを切られるかと不安を抱きながら生活することを強いられ続ける。どうか、派遣先が、自分の意のままに、いつでもクビを切ることができる、派遣労働という悪しき制度を改める方向へ議論を深めてほしい。製造業派遣禁止という「業種」規制ではなく、安易なクビきりが可能という派遣労働の問題の本質に目を向けてほしい。

  いまの政府の派遣法改正案は日雇い派遣を禁止するとする一方、専門的とされる26の業務の常用型派遣労働者からは直接雇用の申し込み義務を奪い、派遣先が面接して派遣労働者を選ぶことができる事前面接の解禁が盛り込まれている。つまり、ほんの少しの規制強化と大きな規制緩和を抱き合わせにした改正案だ。しかし、政府案を細かく見ると、日雇い派遣を原則禁止するとアピールしながらも、18もの例外業務を設けそれらの日雇い派遣を温存する。それ以外の業務についても、労働者と派遣元が結ぶ30日以内の雇用契約を禁止しただけで、派遣先を日々変更することについてはなんら規制がなく、これまでの日雇い派遣と同じ働かされ方が生き延びる。詐欺的な法改正案である。


 詐欺的な政府案を見抜く慎重さを

  われわれは、こうした政府による詐欺的な誘いに乗り、だまされないように注意しなければならない。派遣法の2003年改正の際、臨時的・一時的業務である一般派遣について派遣可能な期間を1年から最長3年に延長した。この期間制限を3年に延長する経済界の要求を受け入れる代わりに、労働側は3年を超えて派遣労働者を使用するときは派遣先が直接雇用することを義務づける、新たな規定を盛り込んだ。とはいえ、このとき労働側が勝ち取った直接雇用申し込み義務は、法律を仔細に見ると、派遣元が派遣先に対して「派遣可能期間を超えますので、もう派遣しません」という通知があり、それを破った場合に限られている。派遣法40条の4にある直接雇用申し込み義務は、派遣元から派遣先への通知があったことを条件としている。


  骨抜きの直接雇用義務

  この条件を付けることにより、まじめに契約していると直接雇用申し込み義務が課されるけれども、偽装請負や虚偽契約の場合は直接雇用申し込み義務を免れ、しかも、なんの制裁も受けないという、なんともおかしな事態が生じている。実態は派遣なのに請負契約を結んできた偽装請負、実態は最長3年の期間制限のある一般派遣なのに派遣期間の制限のない政令業務を偽装する違法契約の場合、前の段落で記した派遣元から派遣先へ行う「もう派遣しません」という通知がないため、直接雇用の申し込み義務が生じないのだ。違法な契約を結んで、派遣期間制限違反を犯した場合、国は「派遣の受け入れを止めなさい」と派遣停止を命じるだけである。
  派遣を禁じられ、雇用を失う派遣労働者がいるにもかかわらず、派遣法の直接雇用申込み義務の規定は適用されない。派遣停止で雇用を失う派遣労働者を救済するのは、強制力のない厚生労働省が定める「派遣先・派遣元指針」となる。指針は、派遣元、派遣先双方が、労働者の雇用を確保するよう定めている。
  このように、現行の派遣法は、違法派遣のやり得を許し、促進する構造になっている。詐欺的な規定と言わざるを得ない。政府側は今回の改正の論議でも、これまで行ったような抱き合わせのようなものを提示してくるだろうが、それを良いものだと思って飲み込んだら、実は、とんでもないものだったという危険がある。


  請負の範囲拡大を同時に防げ!

  政府の派遣法改正案が出た昨年夏、製造業で働く派遣社員の多くは政府案に失望した。なぜなら、彼/彼女たちのほとんどが、3ヶ月程度の短期の契約を更新する契約スタイルであり、日雇い派遣禁止を謳う30日以内の契約を禁じたところで、何も変わらないからだ。いつクビを切られるかわからない不安の中で生活を強いられ続けることがわかったからだ。そして、昨年秋から、その不安が現実化してしまった。製造業の大量派遣切りだ。5日の舛添大臣の「製造業への派遣は禁止すべき」との発言も、製造業派遣の深刻な事態を受けてのことだが、やはり注意が必要だろう。
  一つは、派遣法改正論議の裏で、請負の規制緩和が準備されていることだ。請負の範囲が拡大されれば、製造業で派遣を禁止したとしても、派遣社員が請負社員にされるだけとなり、「派遣切り」が「請負切り」に変わるだけであり、実態は何も変わらなくなってしまう。いつ切られるかわからない不安は解消されず、低賃金も変わらず、直接雇用の期間工なら無料の寮が、請負なら実費以上が給与から天引きされる不公平も無くならない。製造業派遣の禁止を勝ち取るなら、それは請負範囲の拡大も阻止しなければ、有名無実となってしまう。


  働くものが報われる社会へ

  日雇い派遣の禁止にせよ、製造業への派遣禁止にせよ、政府提案の中身には疑義があるとはいえ、政府が労働者派遣法の規制を強める姿勢を打ち出したことは、派遣労働に取り組む幾多のユニオンや反貧困ネットワークらの行動の成果、戦果であり、労組の一人として、関係者の努力に感謝しているし、その行動を讃えたい。
  われわれの要求する派遣法の抜本改正を実現するには、政府との交渉は避けて通れない。いま大事なことは、政府が作る毒饅頭を食わされないように慎重に検討していくことであろう。製造業派遣を禁止するだけでは、派遣労働の問題の本質には切り込めないし、請負の問題もある。部分的な改正で妥協しないでほしい。製造業以外で働く多くの派遣社員のことを念頭においてほしい。すべての派遣労働者の雇用と待遇を改善する運動となるよう、私も微力を尽くす。
[ 2009/01/06 21:40 ] 派遣法 改正へ | TB(0) | CM(1)
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[ 2010/03/07 07:35 ] [ 編集 ]
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