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「安定して働く権利は非正規にもある」 雇用助成金


正規と非正規でワークシェアを


契約社員や派遣社員などの非正規労働者の首切りを防ぐため、政府は、雇用調整助成金を拡充した。派遣切りなどをしないで雇用を維持する企業をバックアップするためにお金を支給する「雇用調整助成金」について、これまでの3分の2だった助成率を4分の3へと引き上げた。また正社員の残業時間を減らして非正社員の雇用維持を支援する「残業削減雇用維持奨励金」も創設した。奨励金は年間一人当たり最大、派遣社員が45万円、契約社員が30万円となっている(厚生労働省発表09/3/30)。

昨年秋の米国の金融危機に端を発する世界的不況の影響で、主に大企業は業績の悪化を食いとめようと、派遣社員などの非正規を雇用の調整弁との位置づけから、彼らの生活を破壊することなど省みることなく、派遣切りなどによる雇用調整を大規模に行った。

非正規も雇用の調整弁ではない

残業削減雇用維持奨励金は正社員の残業を減らして非正規の雇用を維持するという、正規と非正規のワークシェアリングを後押しするもので、非正規は雇用の調整弁と位置づけ真っ先に解雇してきたつい最近までの考え方とは、大きく異なる。こうした助成金の活用などを通じて、非正規は雇用の調整弁に過ぎないという考え方を改める契機としたい。


契約社員や登録型派遣社員などの有期契約の多くは、契約更新の可能性はあるとしながらも、業務量が減少すれば契約を打ち切るという内容になっている。これは、これまでの雇用の調整弁という位置づけの表れだ。しかし、今や、派遣切りの酷い行いを見て、われわれは、非正規だからという理由だけで、真っ先に雇用を打ち切ることは、正義に反することだと思うようになった。非正規も正規も同じ人間だ。誰だって突如、雇用を打ち切られたら困る。これは共通だ。だからこそ、政府も制度を改め、非正規の雇用を維持するための助成金を創設した。

労組の真価問われる  非正規 組織化のチャンス

今こそ労働組合の真価が問われる。残業削減雇用維持奨励金の場合、受給するには、労働組合(もしくは労働者代表)と残業削減に関する協定を結ぶことが要件となっているからだ。日本の労働組合は正社員が中心になっている。組合員でないことの多い非正社員のことを考える、いわば人間としての想像力を発揮できるかどうかが、労働組合に問われている。

一方、非正社員にとっては、自分たちの雇用を守るため、自ら労働組合を立ち上げ、会社に助成金の活用を求めていくチャンスであろう。その際、正社員で構成する組合とよく話し合っていき、理解を求めていきたい。

最近、正社員の長時間・過密労働の問題がさまざまな形で表面化している。過労死やうつ病発症者の増加をはじめ、過剰ストレスによる家庭内暴力(DV)、女性への育児負担が重くのしかかりノイローゼになったり、女性の非婚化や出産・育児の断念などがある。

正社員は非正社員とのワークシェアリングを考えることを通じて、こうした諸問題の解決に向け、努力していくべきである。

労働ビッグバンからの脱却を

日本経団連が1995年に「新時代の日本的経営」を打ち出した。経営者団体の労働政策は小泉内閣から安倍内閣まで勢いが盛んだった労働ビッグバン構想に引き継がれてきた。労働ビッグバンのポイントは3つ。すなわち、1)正社員の解雇の自由化(金銭解決制度の導入)、2)正社員の労働時間規制の撤廃(ホワイトカラー・エグゼンプション)、3)派遣など間接雇用の拡大---である。

この三つが完全には実現する手前で、なんとか阻止されてきたのだろうが、労働の現場では、着実に労働ビッグバン構想の方向に進んできたことは間違いない。ここで大事なことは、非正規も正社員も、どちらもそれぞれ形は違うけれども、権利が奪われつつあるという現実だ。

退職金もボーナスもない非正社員と比べれば、正社員は恵まれていると考えられている。しかしもし労働時間規制が撤廃されてしまったら、正社員はどれだけ働かなければならなくなるか、わからない状況になるに違いない。あまりに長時間働き残業代がないので、給料を時給で計算してみたら最低賃金を割り込んでいるという話もめずらしくないのである。


正規と非正規の壁 乗り越えよう

労働ビッグバン構想の延長線上にある今の労働の現状を変えなければ、正社員にも未来はないということだ。非正規はすでに未来はない。待ったなしだ。いまこそ、正規と非正規の壁を乗り越える時だ。


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